――― Marky on the WEB

2005/11/18
雪国の時間

久しぶりに雪国にやってきた。ここは秋田県鹿角市。東北新幹線で盛岡までほんの2時間。そこからローカル線に乗り換えてさらに2時間にいったところにある町だ。十和田湖に接した鹿角市のある商店街を活性化させる会議を進行する仕事があって来ている。

具体的に地域の仕事の役に立てる仕事をさせていただくのは、とてもありがたいことだ。わざわざ東京から呼んでくださったことに感謝。せっかくの機会なので、全力をかけてよい時間にしようと意気込んで、行きの車内でもあれこれと準備を進める。

ふと目を挙げると雪が目に入る。そうか、11月の中旬にはもう積もり始めるほどの寒さなんだと驚き、持ってきたわずかな上着を心細く見つめる。

乗換の盛岡駅であわてて買った厚手の靴下を2重履きにして、暖かさを覚え、ようやく落ち着く。

列車から窓の外見ると、稲を刈り終えた田んぼと、雑木林が静かにたたずんでいる。

美しい。

日本の田舎はかくも美しいものだったかと、しばし、感慨にふける。
ねじり立てられた稲藁、少し緑が残ったあぜ道、にょっきりと生えた大根、崩れかけた古い農具用の小屋、いずれも「人の手によって作られた自然」の美しさに満ちあふれている。
初めて訪れる土地なのに、なぜか妙に懐かしい気持ちになる。

ディーゼル機関車がごうごうと音を立てて一つひとつの駅を進んでゆく。
時間がゆっくりと進んでいる。

同じ2時間という時間が、新幹線とローカル線ではまるで違った意味を持って、僕の体の中に入ってくる。あまりにも忙しく、速く、遠くに移動し続けている自分をたしなめるように、癒すように、「それでよいのですかね」と静かに問いかけるように、ゆっくりと列車は進む。僕はときどき考え、少し悲しい気持ちになる。

まぶしい太陽光に思わず目をつむり、じっと耳を澄ます。またゆっくりと目をあけて、田んぼと雑木林を見つめる。

すばらしい雪国の時間に感謝。
本当に素晴らしい時間でした。

追記:その後の商店街での会議も素晴らしく、爽やかな会議でした。
 それはまた、別のお話し。