――― Marky on the WEB
青木将幸ファシリテーター事務所

2009/06/21
スキルダウン合宿&OSTの原則

先日、伊豆高原の合宿所でスキルダウン合宿を開催しました。

スキルダウン合宿は、福岡のクロちゃん(斉藤望さん)が九州の仲間達と開催したことがあるものです。その結果をつづった冊子を拝見して、「これはぜひ関東でも」と思っての開催でした。

クロちゃんはとてもユニークな存在。ロックなファッション、ゆるい時間、鋭い視点を持った次世代ファシリテーターなんじゃないかと。そんなクロちゃん、場を開くときに「私はオープン・スペース・テクノロジーの4つの原則が好きなんです」と、以下のことを紹介してくれました。

オープン・スペース・テクノロジーとは1980年代に開発された話し合いの手法の一つで、ファシリテーターに会議を進行してもらったり、誰かが正解を握っている話し合いではなく、参加者ひとりひとりが自発的に場をもってゆくコミュニケーションの仕組みです。そこには4つの原則があります。

 

オープン・スペース・テクノロジー 4つの原則

1)ここにやってきた人は誰でも適任者である

Whoever comes is the right people.

2)何が起ころうと、起こるべきことが起こる

Whatever happens is the only thing that could have.

3)それがいつ始まろうと、始まるときが適切な時である

Whenever it starts is the right time.

4)それが終わったときは、本当に終わりなのである

When it’s over, it’s over.

 

この4つの原則を紹介したうえで、合宿のスタート。めいめいの思うところを語り合い、刺激しあいました。温泉ありバーベキュー有りのゆったり合宿。話し合った内容の詳しい報告は別の場にゆずるとして、この4つの原則について思うところを、ちょっと書いてみようと思います。

なかなか興味深い原則です。私たちは会議が上手くいかないとき「あんな人がいるからだ」と困った参加者のせいにしがちですが、原則の1)では、すべての参加者を適任者として見ています。そのように見られると、人はそう動くという面もあるだろうなぁと。

原則の2)、3)、4)もまた、参加者と場のダイナミズムを本質的に信頼しているからこそ出てくる言葉なのかな、と思います。どのような議題が出ようと、それがいつ終わろうと、起こるべきこと、必要なことが起きる。むーん、なかなか興味深い。

書籍『オープン・スペース・テクノロジー 5人から1000人が輪になって考えるファシリテーション』を読んでみると、もともとこの手法が出来た経緯が書いています。

開発者のハリソン・オーエンさんがある国際会議の事務局をやったときのこと。1年も前からいろいろ苦労をして議題を調整し、進行の段取りを考え、細かな時間割を作り、参加者の多様なエゴをコントロールして尽力しました。くたくたになって会議を終えたところ、最後の最後で参加者の多くからこんな感想を寄せられたのです。

「コーヒーブレイクの時間が一番有意義だった」と。

これを聞いて、コーヒーブレイクにはあまり力を入れてきたつもりがなかったオーエンさんは、「あの細かな調整作業の苦労は何だったんだ!」という気持ちになったそうです。同時に、「あ、そうか! コーヒーブレイクのような自由でゆるやかで相互に刺激し会える時間と、成果のでる会議とが組み合わせられる可能性がありそうだ」ということに気がついていったようです。

わかりますねぇ、その苦労。

そして、参加者の声を受けて、いっそのこと参加者を信じて行く方向にシフトしたのも納得がいきます。うちの主催事業も、休憩時間がとっても有意義そうなので、「休憩は10分です」とか言っておいて、追加でもう5分、さらにもう5分とゆっくり過ごしてしまうこともたびたびです。

また、参加者からのフィードバックが新しい場をつくってゆくヒントになってゆくのだなと思いました。がちがちの主催者や進行役からは出てこない発想です。僕自身色々なフィードバックを参加した皆さんから頂こうと思った次第でした。

それからOST。どこかで実践してみようと思います。「自分も体験してみたいぞ」という方、ぜひ声をかけてください。一緒に場を開きましょう。