――― Marky on the WEB
青木将幸ファシリテーター事務所

2011/1/2

2010年のふりかえり 

2010年も、ありがたい1年でした。

毎年、年末に1年分のカレンダーを見つめ直して、今年はどんな年だったのかを、振り返っています。

2010年2月18日に第二子、草太(そうた)が誕生するという、祝いの幕開けでした。お産の前後、1か月強の産休をとりました。出産も2度目となると、いろいろ慣れてきますが、やはりドラマです。関東ではめずらしく大雪の日に誕生しました。お姉ちゃんぶりを発揮する長女・天音とのふれあいも楽しい時間です。家族との時間をゆっくり持てば持つほど、世の中はものすごく速いスピードで動き、自分が置いてかれてゆくような感覚もあります。しかし、子どもが小さな時期というは実にかけがえのないもの。あっという間に大きくなります。この時期は、もう二度と戻ってこないんだと思い、「社会活動3割減」を実践しました。仕事もボランティアも、飲み会なども控えめにした一年でした。

3月には、国際青年環境NGO・A SEED JAPANの理事職も終え、若手にそのポジションをわたすという体験もしました。12年ももっていた役職ですが、思い切って手放すことで、得られるものもあるものです。A SEED JAPANには、今後も、いちボランティアとして関わりますが、理事という組織経営に責任を持つ関わりからは一段落。実に多くのことを学ばせて頂いたので、これからが恩返しです。

4月には「プロボノ宣言」をし、毎月10時間、年間120時間ほどですが、社会的な活動に取り組む現場からの希望を受け、無料でファシリテーションを実施しはじめました。ETIC.、インパクト東京、ブラストビート、シチズンシップ共育企画、ワークショップAIDなど、自分がリスペクトする社会的事業家や、若い才能たちと、場をともにすることができたことを、光栄に思います。プロボノは2011年も続けてゆきますので、「こういう時、ファシリテーターを必要とするが、予算がないなぁ」という場があれば、声をかけて下さい。社会課題に向き合うものであれば、北海道から沖縄まで、トライします。

主催事業は、14本。「会議ファシリテーション」「ファシリテーション・グラフィック」といった定番ものもやりつつ、「自分の体の声を聞く8時間」という身体系の展開も。頭だけでは行けない領域もあるなぁと実感。
一冊の本のもとに集う「読後会」を3回ほど実施。今年は『風姿花伝』『自分をいかして生きる』『世界を変えるデザイン』をとりあげました。このやり方は、一冊の本を豊かに味わえるので、好きです。
お寺でのワークショップも順調に展開。等覚院さんといっしょに「病は私たちに何をもたらすか?」「煩悩108連発!」という2つのワークショップを展開。應典院においては、「看取り」をテーマにしたワークショップをシチズンシップ共育企画とともに実施。とくに「煩悩108連発!」は、今後、様々なお寺で展開できそうな予感です。
また、自分が尊敬するファシリテーターにインタビューをし、かつその方を招いてワークショップを実施するというシリーズも開始。川嶋直さんをゲストに、よき2日間を持つこともできました。主催事業は、「今の自分の関心事」が如実に表れるので、ふりかえると興味深いものです。

本業の会議進行は、30本のオーダーを頂きました。分野・ジャンルを問わず、ファシリテーターとして、ある地域や組織におじゃまして、会議を進行させて頂くという仕事は、実に面白いものです。この仕事、飽きないなぁ。

世相柄「うちの地域で、孤独死をどう減らしてゆけるか?」といった会議も、何度か進行させて頂きました。地域の自治会長さんや、民生委員さん、傾聴ボランティアや配食ボランティア、社会福祉協議会や、市役所の担当者などが集い、ともに知恵を出し合い、命を紡ぐ場に居合わせることができたことは、ファシリテーター冥利に尽きます。

山村地域の活性化や、地域を面白くしてゆこう!といった種類の会議の進行役をさせて頂いたことも、大きな喜びです。長野県の飯島町・中川村には何度もおじゃまして、すっかりこの地域が好きになりました。地元のNPO法人 飯島中川政経人会議のみなさんたちが、里山泊覧会イーラというカタチで、ワークショップで出たアイデアを具体化なさったことは、僕にとっても本当にうれしいことでした。

この他にも、スキューバダイビングのガイドさんたちと海に潜ってから会議をしたり、「子どもの遊ぶ権利」について、4コママンガを使った国際会議を進行させて頂いたり、「四国を盛り上げよう!」的な会議に関われたりと、実によい経験をさせて頂きました。

企業関連の仕事だと、TOTOのステイクホルダーダイアログをお手伝いすることで、トイレの歴史に詳しくなったり、いくつかの中小企業の経営陣と社員さんが集い会社のビジョンをつくってゆく会議の進行役も、エキサイティングな展開を見せました。

今後も、会議のファシリテーションを通じて、エコでピースでハッピーな市民社会をつくることに関わりたいと思います。


 

研修講師の仕事は42本。環境、教育、男女共同参画、まちづくり、福祉などに関わるNPO/公共機関のみなさんに、「ファシリテーションとは?」を伝えるというのが主な仕事でした。研修講師は、人に教える仕事でもありますが、同時に、各地をめぐり、それぞれの現場から学ばせていただく仕事とも言えます。

大学では、合計3つの授業を担当させて頂きました。「ワークショップ論」「ワークショップ演習」「ファシリテーション特講」。今時のハタチとのふれあいは、実に新鮮で、発見と驚きの日々です。学生からもらったレポートがあまりにすばらしく、感動して、涙を流したりもしました。若い世代は、常に社会をつくってゆく原動力です。彼らに何かしらのことを伝えられたらという思いをもって、引き続き、全力投球しようと思います。

最後に。敬愛する土岐小百合さん(コミュニケーション・アーティスト)と、対談したことも印象深い時間でした。場所が友人・流玄がやっている「ここちや」だったこともあるけど、うまい聞き手に出会うと、饒舌に語れるなぁ、という印象。自分の仕事を、自分がどう語るのか、客観視できるのは面白いものです。お時間がある方は、動画が残っているので、どうぞ。
http://www.ustream.tv/recorded/9586895

以上、2010年に手がけることができた仕事のふりかえり。

もちろん、できなかったこと、うまくいかなかったこと、残念だったこともありました。

「著書を出そう!」と意気込んでも、なかなか原稿が書けなく苦しんだり(まだ出てない)、「自分が発する言葉を丁寧に選ぼう」と思いつつも、つい、こころない言葉で人を傷つけてしまったり、森川千鶴さんという、大切な仲間を亡くす悲しみを味わったりもしました。

人生山あり、谷ありです。そんななか、家族や仲間達に支えられ、励まされた1年でした。2010年にお世話になった皆さま、そして、ここまで育てて下さった諸先輩方、ありがとうございました。

2011年も、どうぞよろしくお願いします。