――― Marky on the WEB
青木将幸ファシリテーター事務所

2013/11/20

「8分読書会」の進め方

 

「読書会」って、なかなかいい仕組みだなぁと思っています。一冊の本をもとに人々が集って、「その本を読んで、どんな感想を持ったか」「どんなことをやりたくなったか?」「ここから、どんな応用ができそうか?」などを語るのは、実に豊かな時間です。講師や先生を呼ばないでできる、というのもメリットです。コストもかからず、じっくり自分達で学べます。

 

僕自身も、学生のころは難しい専門書を皆で1章ずつ読んでから集い、読破する=輪読会というのをやっていたり、ワークショップの歴史やルーツを探る<ワークショップの源流を探る読書会>を開催していたので、よく、読書会をやってきました。

 

難点がひとつあるとすれば「事前に読んでこられない人が、けっこういる」ということです。もちろん、事前に皆が読んでくるルールなのですが、忙しかったり、時間がとれなかったりして、なかなかこれが徹底されない。実際に僕も「読めてないです、ごめんなさーい」と、皆に謝りながら参加したことがあります。これはなかなか、肩身が狭い。

 

そこで、「事前に読んでこなくていい。当日本を持ってきたら、それでOK」という読書法を開発するにいたりました。これは、先述の<ワークショップの源流を探る読書会>で試みた方法で、それ以来、いくつかの改良を経て、<8分間読書会>という方法に落ち着きつつあります。

 

やり方は、とても簡単です。

 

 

8分間読書法 

 

●事前にやること

1,皆で読みたい本を1冊定める

2,集めたいメンバーに声をかけて、読書会の日時、場所を決め、その本を全員が持ち寄る

 

●当日やること <簡易バージョン>

1,【読む8分】当日、皆があつまったら、簡単に8分間読書法のやり方を説明し、やおら、その本を、8分間読む。8分間しかないので、当然、全部は読めない。「はじめに」から読んでもいいし、後のほうから読んでもいいし、ぱらぱらとめくってもいい。カバーをはずして、装丁を味わってもいいし、奥付で何刷目かを確認してもいい。それぞれが、読みたいように読む。8分間はキッチンタイマーなど、音が鳴るもので計っておくとよい。

2,【語る8分】8分たったら、本を読むのをやめて、近くに座っている人で3組をつくって、8分間感想を語り合う

3,【全体討議】その後、どんな感想が出たかを、各3人組から話してもらい、いろんな感想を聴き合ったり、全体で話し合ったりする。

 

というもの。これが一番簡単なバージョンです。8分読んで、8分感想を3人組で語って、残りの時間で、全体討議をする。もう、これだけで、充分にいろんな意見が出ます。「ぱっと今、読んだ感じでは、著者はこんな感じの人だな」とか「よくこんな用語が登場するけど、これって、どういう意味だろう」とか「○ページに出てくるんだけど、××が▽になるシーンは、とっても面白そうで、早く続きを読みたい」など、と色々な声が聞こえてきます。

 

一番簡単なバージョンだと、これで読書会を終了してもOK。たかだか30分とかで済むので、朝活や、職場のお昼休みの小さな勉強会などでは、これの<簡易バージョン>がオススメです。

 

もうすこし、時間が取れる場合は、<みっちりバージョン>でお楽しみ下さい。

 

 

8分間読書法 

●<みっちりバージョン>

1,【読む8分】当日、皆があつまったら、簡単に8分間読書法のやり方を説明し、やおら、その本を、8分間読む。

 

2,【書く8分】8分間、読んでみて、自分が何を感じたか。どんな印象をもったかを考えて、自分のノートやメモに、感想をかきとめる。

 

3,【問いをたてる8分】各自にA4のコピー用紙などを1枚と、マジックを配って、<ここにいる皆さんと、話し合ってみたいこと・問いたいこと・意見交換したいテーマ>を、1つ選んで書く。 例えば、教育関係の本を読んでいたとしたら「この本が目指している教育って、どんなものだと思う?」とか「日本の学校教育の、一番の弱点は何?」とか「こどものころ、印象に残っている教師って、どんな人?」とか「子どもと最近、どう接してますか?」とか。各自から、この場にいる、皆に聴いてみたいこと、話し合ってみたいことを出す。

 

4,【語る8分】すべてのテーマをみせあって、語り合う順番を決めて、交替で1テーマ8分ずつ意見交換する。短い時間で、ぽんぽんとテンポ良く論点が変わってくる。当然、短い時間なので、結論までいかなくてよい。

 

5,【ふりかえる8分】全員のテーマを扱ったら、それぞれから今日の読書会の感想などを聴いて、解散。

 

というもの。10人いたら、【語る8分】は80分かかる計算です。なので、3時間ぐらいのじっくり読書会に向いた方法ですね。これは、なかなか思いもよらない問いや視点が出てくるので、大変面白いやり方です。ぜひ試して下さい。

 

 

<簡易バージョン>と、<みっちりバージョン>の中間ぐらいのアレンジも可能です。8分読んで、3人組で、8分感想を語り、また8分読んで、それから自分のノートに感じたことをメモする、みたいなカタチでやったこともあります。このへんは、ご自由に。

 

なぜ8分なんですか? と聴かれることが多いのですが、実はあまり意味はありません。当時集まった読書会のメンバーが8人だったからです。でも、8を横にすると無限大∞のマークになります。漢字で書いても末広がりだし、なんだか、縁起のよい数字だなぁと感じ、ずっと8分間で採用しています。

 

この読書法の特徴は

 

1,事前に読んでこなくていいので楽!

2,当日8分だけよんで、皆と意見交換できるので、手軽

3,他の人の視点をもらえるので、複合的にこの本を楽しめる。本を読み進める楽しみが増す

 

あたりにあるかと思います。

 

僕の1冊目の著書の完成記念パーティでも、できたてほやほやの新著を、皆に配って皆でいっせいに8分間読んで、意見交換したのですが、大盛り上がりでした。みなさんの地域や職場でも、自由にアレンジして、楽しい読書ライフをお楽しみ下さい。