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青木将幸ファシリテーター事務所

2014/03/20

ネルソン・マンデラの対話法


反アパルトヘイト運動の指導者でもあり、南アフリカ元大統領でもあったネルソン・マンデラさんが亡くなったのは、2013年12月のこと。偉大なリーダーに敬意を表し、2014年3月18-19日に追悼記念ワークショップ「ネルソン・マンデラの対話法を体感する2日間」を開催しました。

東京、大阪、名古屋、京都などから集った参加者は8名。美容師、大学教員、NPO支援センター職員、研修講師など、いずれも個性的なメンバーで、2日間かけてじっくりとマンデラさんの対話法を習得しました。マンデラさんの対話法は、極めてシンプルで、レジュメを配って説明しても「え? これだけ?」という反応が返ってきそうなほどです。

でも、これをじっくり2日間かけてやってみると「すごい! さすがマンデラさん!」と唸ることがたくさんありました。マンデラさんの対話法の特徴は、お互いの意見を聞き合ったあとに「間を置く」ことにあります。すぐさま反論や討議、意見交換をするのではなく、いったん間をおいて「寝かせる」プロセスで、何かが熟してゆく体験をすることができました。

ワークショップは、淡路島の南西の阿那賀という集落にある「旅館 若潮」で開催しました。三食の食事が大変美味しく、健康的で、幸せな時間となりました。夕暮れどきには、皆で散歩にでかけ、しずむ夕陽をみつめながら対話を深めました。マンデラさんの自伝にも書かれていますが、話し合う際に「おいしい食事」があることは、とても意味のあることではないかと感じました。

自伝の数ページを皆で音読するという機会も持ちました。ふだんの読書では読み取れないような様々な角度からの感想が皆から出され、じっくりと読み合うことの価値も感じる豊かな時間でした。

夜はマンデラさんが登場する映画についてのトークも花開きました。『インビクタス 負けざる者たち』という映画には、弱小であった南アフリカのラグビーチームが、ワールドカップで優勝するプロセスが描かれています。映画のなかで、黒人が白人を許すことの意味を説くマンデラさん。相手を不安にさせてしまうと、いいことが起きないということを知っていたのではないかと思います。

もうひとつの映画、『マンデラの名も無き看守』では、投獄されているマンデラを担当した看守を主人公に話題が進んでゆきます。そのなかで次第に白人の心をつかんでゆくマンデラさんの真摯で力強い人生を感じる良作です。

今回のワークショップで、テキストのように活用させていただいた書籍『ネルソン・マンデラ自伝 自由への長い道』は残念ながら絶版となっています。復刊ドットコムというサイトで、復刊祈願をしておきました。この自伝、すでに映画化もされているのですが、まだ日本語にはなっていないようです。ウエブサイトで予告編を見ただけでも、とても面白そうです。早く日本語版が出て欲しいなと思っております。

http://mandelafilm.com

ネルソン・マンデラさんの対話の方法は、とてもシンプルで、力強く、私たちの生活や仕事にとても役立つものだと思います。先人からさずかった知恵として、大切に引き継ぎたいと思います。また淡路島か、某所で開催できればと思っています。ご要望ありましたら、コンタクト下さい。南アフリカの苦闘から得た貴重な学びを共有したいと思います。